技術革新が目まぐるしく進んでいる中で,我が国のモノづくりの技術力の高さは様々な分野で認知されておりますが,現在世界中で起こっている変革のスピードに遅れないためには,研究開発戦略の面においても,多様性と柔軟性がさらに求められる状況となってきていると思われます。従来型の研究開発においては,知財やノウハウ等の技術情報の管理に基づいて,目的の達成に向かって技術開発を積み上げていく作業が地道に行われることとなりますが,その過程で社会や企業を取り巻く状況の変化があった場合,それまでの技術開発やノウハウの集積は止められ,生かされないといったことも起こります(オープンイノベーションを言われて久しいですが...)。国立および公立の研究機関や大学法人においては,企業に比べれば長期的な視野での研究継続が可能であり,技術力の維持・発展や企業の研究開発への助力の面で貢献が期待されますが,昨今,それら公的機関においても民間企業同様の知財やノウハウの管理がますます強化されるようになったため,民間企業との間での摩擦が生じるような場合も出てきております。
我が国には多様な技術や知財・ノウハウの蓄積があっても,それらが生かされずに死蔵されてしまうことが危惧される面も否定できません。それらを生かすためには,ソフトウェア開発の分野で有効に機能しているオープンソース的な手法による技術開発とモノづくり,その過程での様々な分野の知見や技術力・ノウハウを有した人材間でのコラボレーション,というような研究開発戦略も考えられると思いますが,それには企業間のみならず企業と公的機関の間においてさえ,様々な困難を伴うことが予想されます。
LP&Dラボ(LP&D Laboratory, Laser Processing & Devices Laboratory )では,オープンソース的な手法による技術開発とモノづくり”とイノベーションによる社会貢献を目指した実験的な試みを進めていきます。これまでの大学や企業での研究開発における知見・経験・技術・知財・ノウハウをオープンに発信し,異分野・異業種間でのコラボレーションや試作サンプル品の提供等を行っていきます。これは,いわゆる オープンイノベーションという概念に近いものかもしれませんが,組織があるところ,特に組織が大きいほど,他者との利害関係の摩擦は必ず生じ,言葉でいうほど簡単なものではないように思います。今のところ,私たちはそういったことからは遠い,自由な場所にいます。
弊社は,特定の大学や企業には縛られないフリーランス的な活動を行っていきます。これは,弊社が提供する技術,知財関連情報やノウハウに関しても該当しています。
ワクワクできるようなことを,様々な方々とできればと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
まずは,地道に研究開発と情報発信を行っていく所存です。それらが何らかの社会貢献につながる点が少しでもあればと思っています(渡辺)