福島県立福島高等学校
齋藤優之介,小野寺 葵,中村 心音,飯塚 遥生,岡部 大和,松田 汐良,松本 大和
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌),141 (3),9-11(2021),
優秀賞
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejpes/141/3/141_NL3_9/_pdf/-char/ja
https://doi.org/10.1541/ieejpes.141.NL3_9
【概要】
「私達は,Mg とI2 を用いた二次電池の作成を最終目標として,実用化可能な電圧をもった
一次電池の開発から研究を始めることとした。」
↑本論文では,一次電池の開発が目的とされているが,
↓研究の進展によって,二次電池の特性が確認され,同じ福島高等学校の研究グループから報告されている。
「マグネシウムとヨウ素を用いた 二次電池開発」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/materia/61/3/61_172/_pdf/-char/ja
↓本論文では,実験条件は以下のようにされています。
「負極:金属マグネシウム
正極:炭素棒
塩橋によって,正極溶媒と負極溶媒を分けて電池を作成
溶媒:プロピレンカーボネート(PC),炭酸ジエチル(DEC),炭酸エチレン(EC),およびそれらの混合溶媒
(電解質:正極側と負極側の電解質および組成は不明)」
「実験の際,空気中で薬品の調合・放電等をしていたため,このときに含まれる酸素が内部抵抗の原因と考えた。この酸素を除去するためアルゴン(Ar) 雰囲気下での実験及びAr バブリングによる酸素除去を試みた。」
↑このようなArガスの影響に関しては,「Ar バブリングにより電極表面の酸素被膜が剥離したため」と考察されており,マグネシウム電極で不動態飛膜形成は,マグネシウム/ヨウ素電池系でも問題になるということだろうか。
結論としては,
「本研究では,Mg とI2 を用いた二次電池の実用化を目標として,実験を行った。昨年までの研究では,始めに,Mg とI2 をPC に反応させることによって実験を行なったが,電圧は0.040v,100Ω の抵抗につないだ際は0.02mV と低かった。そこで,Mg の変色から,Mg とI2 が直接反応する短絡現象が起こっていると考え,塩橋を用いた電池の作成を行った。起電力は1.530V,10Ω が30.5mV に向上し,I2 の拡散を完全に抑制することに成功した。」
とされている。
↑塩橋の効果には,非常に興味深いものがある。やはり,ヨウ素の酸化還元反応の制御が,電池特性向上のためのポイントの一つになっていることが示唆される結果と考えられる。