特開2021-197337,
出願人:日清紡ホールディングス株式会社,
【概要】
「金属極の過電圧を大幅に低減できる電池与えるマグネシウム電池用電解液を提供すること。」
が課題されている。
↑具体的な課題は,マグネシウム金属負極表面に不動態被膜が形成されること。
「本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属極の過電圧を大幅に低減できる電池を与えるマグネシウム電池用電解液を提供することを目的とする。」
解決手段は,
「例えば、塩化マグネシウム等の(A)マグネシウムイオンおよびハロゲン化物イオンを含む塩である電解質、(B)テトラフルオロボラートアニオンを含む塩である添加剤、並びに(C)有機溶媒を含むことを特徴とするマグネシウム電池用電解液。」
とされている。
(A)電解質は,塩化マグネシウム(請求項4)
「 本発明で用いる電解質を構成するハロゲン化物イオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-等が挙げられるが、Cl-が好ましい。 マグネシウムイオンおよびハロゲン化物イオンを含む塩としては、特に限定されるものではなく、例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、ヨウ化マグネシウム(MgI2)等が挙げられるが、これらの中でも、得られる電池の放電容量等の電池特性をより高めるという点から、塩化マグネシウム(MgCl2)が好ましい。」
(B)添加剤は,テトラフルオロボラートアニオンを含む塩(請求項1),アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種(請求項5)
「本発明で用いる添加剤は、BF4-を含む塩であれば特に制限はなく、イオン液体を含む従来公知の塩から適宜選択して用いることができるが、過電圧抑制効果をより高めるという点から、アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびアルカリ金属塩から得られる1種または2種以上が好ましく、アンモニウム塩がより一層好ましく、アンモニウム塩型のイオン液体がさらに好ましい。」
(C)有機溶媒は,環状炭酸エステル類(請求項6),2種以上の環状炭酸エステル類を含む(請求項7)
請求項8では,電解液の対象となるマグネシウム電池が列挙されているが,
そこでの分類は,
「空気マグネシウム電池,
マグネシウムイオン電池,
またはマグネシウム二次電池」
とされている。
「 本発明の電解液が用いられるマグネシウム電池は、特に限定されるものではなく、(1)金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を負極活物質として含む負極を用い、酸素ガスを正極活物質とする正極(空気極)を用い、マグネシウムと酸素の電気化学反応を利用する空気マグネシウム電池、(2)金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を負極活物質として含む負極およびマグネシウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する正極活物質を含む正極を用いるマグネシウム二次電池、(3)金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を負極活物質として含む負極および層間化合物を含む正極を用い、マグネシウムイオンのインターカレーションを利用するマグネシウムイオン電池(一次電池)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない」
↑ここでの,マグネシウム二次電池の定義は,狭義ではないだろうか。
不動態皮膜の問題に関しては,
「電解質としてハロゲン化物イオンを含むマグネシウム塩を用いているため、不動態被膜を除去することが可能となる結果、得られる電池の放電容量を増加させることもできる。」
と述べられている。
↑このように,マグネシウム電極の不動態皮膜の問題に対しては,他の文献でも,ハロゲンが用いられることが多く,これはマグネシウムとハロゲンとの間での化学反応を利用したものと考えられる。
各特許文献では,それぞれ,添加剤,溶媒,濃度等の工夫がみられる。
論理式:[電池/CL]*[マグネシウム/CL]*[ハロゲン/CL]