マグネシウム二次電池用の負極材、マグネシウム二次電池

 

特開2020-135981

出願人:学校法人日本大学,

 

【概要】

「ハロゲン化物イオンを含む電解液を使用しなくても、不動態皮膜の生成を抑制することができ、過電圧が低く、高効率でマグネシウムを電析させることができるマグネシウム二次電池用の負極材を提供する。」ことが課題されている。

 

解決手段は,

「マグネシウム二次電池用の負極材10は、マグネシウムを含むマグネシウム材11と、マグネシウム材11の少なくとも一方の表面を被覆する被覆層12とを有し、被覆層12が、塩素、臭素およびヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲンと、マグネシウムとを表面に有する炭素質材料粒子13を含む。」

とされている。

 

請求項1で,以下のような負極材がクレームされている。

マグネシウムを含むマグネシウム材と、前記マグネシウム材の少なくとも一方の表面を被覆する被覆層とを有し、

  前記被覆層が、塩素、臭素およびヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲンと、マグネシウムとを表面に有する炭素質材料粒子を含むマグネシウム二次電池用の負極材。」

 

請求項4で,以下のようなマグネシウム二次電池がクレームされている。

正極と、負極と、非水電解液とを含み、

  前記負極は請求項1~3のいずれか一項に記載のマグネシウム二次電池用の負極材を含み、

  前記マグネシウム二次電池用の負極材は、前記被覆層が前記正極に対向する位置に配置されているマグネシウム二次電池。」

 

液体電解質系のマグネシウムイオン二次電池となっている。

 

代表図は,マグネシウム二次電池用の負極材の模式断面図を示す図1となっており,

マグネシウム材11の表面が,炭素質材料粒子13からなる被覆層12で覆われた構造が示されている。

 

10  負極材

11  マグネシウム材

12  被覆層

 

13  炭素質材料粒子

 

↓正極活物質に関しては,以下のように述べられている。

 

  正極活物質層23は、正極活物質、導電材、バインダーを含む組成物からなる。正極活物質は、マグネシウムイオンを吸蔵しかつ放出し得るものであれば特に制限はなく、マグネシウム二次電池で利用されている公知のものを使用することができる。正極活物質としては、例えば、金属硫化物、金属酸化物、シェブレル相を有する化合物、ポリアニオン系化合物、シリケート系化合物を用いることができる。導電材としては、例えば、カーボンブラック粒子や黒鉛粒子などの炭素質材料粒子を用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂を用いることができる。」

 

↓非水電解質に関しては,以下のように述べられている。

 

「 非水電解液25は、非水溶媒と溶質とを含む。非水溶媒は、下記の一般式(I)で表される鎖状エーテルであることが好ましい。鎖状エーテルは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

・・・・・

具体的には、鎖状エーテルは、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)であることが好ましい。」

 

↓溶質(電解質)に関しては,以下のように述べられている。

 

「溶質は、マグネシウム塩であることが好ましい。マグネシウム塩の例としては、マグネシウムビス(フルオロスルホニル)アミド:Mg(FSA)2およびマグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド:Mg(TFSA)2が挙げられる。」

 

↑以上から,マグネシウムイオン二次電池用の負極が考えられ,被覆層12はマグネシウム電極表面に形成される不動態皮膜の問題の解決が図られたものとなっている。

 

課題において言及されている,

「ハロゲン化物イオンを含む電解液を使用しなくても、不動態皮膜の生成を抑制することができ、」

の部分に関しては,

マグネシウム二次電池の過電圧を低くする方法の一つとして、ハロゲン化アルキルマグネシウム(グリニャール試薬)などのハロゲン化物イオンを含む電解液を用いる方法が知られている。しかしながら、ハロゲン化物イオンを含む電解液は、電極の集電体などの金属材料を腐食させたり、正極活物質の酸化還元反応の電位程度の電位で酸化分解を起こし

たりすることがある。このため、ハロゲン化物イオンを含む電解液を使用したマグネシウム二次電池では、電池の作動電圧を2V以下とすることが必要となる。そこで、ハロゲン化物イオンを含む電解液を使用しないで、マグネシウム二次電池の過電圧を低くするための検討が盛んに行われている。」

と説明されている。

 

↑その解決のために,

「マグネシウムとハロゲンとを表面に有する炭素質材料粒子13」がポイントとなっている。

 

 マグネシウムとハロゲンとを表面に有する炭素質材料粒子13の分散液は、例えば、溶媒中で、マグネシウムとハロゲンとを含む化合物と炭素質材料粒子とを混合することによって調製することができる。マグネシウムとハロゲンとを含む化合物としては、下記の一般式(II)で表されるハロゲン化アルキルマグネシウム(グリニャール試薬)を用いることが好ましい。

 

↑上記から,マグネシウム電極表面の不動態皮膜の問題の解決に対して,

従来のように,ハロゲン化アルキルマグネシウム(グリニャール試薬)が,非水溶液に含まれるのではなく,

ハロゲン化アルキルマグネシウム(グリニャール試薬)が,炭素質材料粒子と混合され,マグネシウム電極表面を被覆したマグネシウム負極電極を用いるということが,この発明の骨子となっていると思われる。

ハロゲン化アルキルマグネシウム(グリニャール試薬)が,どのような状態(化学修飾,物理吸着 etc.)で炭素質材料粒子中に存在しているかに関しては,記載がなかった。

 

請求項は5項で,第1~3がすマグネシウム二次電池用の負極材に関するクレーム,第4,5がマグネシウム二次電池に関するクレームとなっている。

 

 

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)

論理式:[二次電池/CL]*[マグネシウム/CL]*[ヨウ素/CL]

 

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