各種アルコ ー ル溶液中のマグネシウム合金の浸食挙動

 

吉村長蔵・小倉利明(近畿大学理工学部応用化学科),

軽金属,31,517(1981),

 

Corrosion Behavior of Magnesium Alloy in Alcohols

Chozo YOSHIMURA and Toshiaki OGURA

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jilm1951/31/8/31_8_517/_article/-char/ja/

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jilm1951/31/8/31_8_517/_pdf/-char/ja

 

【概要】

 

「マグネシウムに対するアルコールの作用を,炭素数の面より検討した。。マグネシウムはメチルアルコールと接触すると浸食を受けることが古くから知られている。しかしアルコールの種類による浸食実態について, 系統的な研究は無い。従つて本報では, 種々温度のアルコール中におけるマグネシウムの電極電位変化や重量変化の測定を行ない, かつ共存水分の影響を調査し,アルコール中におけるマグネシウムの浸食実態について考察を行なつた。」

 

「試料片:マグネシウム合金AZー80A」

 

「メチルアルコールの作用

マグネシウム合金に対するメチルアルコールの作用は高温ほど強く作用した。これはアルコキシドの生成によると考えられる。また共存水分は浸食を抑制した。これは金属表面が水酸化物等の生成で不活性になり金属のイオン化が妨げられることにより浸食が抑制されたと考えられる。」

 

「炭素数2以上の飽和アルコールの作用

メチルアルコール以外のアルコールは水分添加により浸食が促進された

・・・・・

エチルアルコールの沸点78℃の場合では, 浸漬後電位は貴方向へ移り, 減量は0.02%以下で浸食は認められない。曲線(5)に示すエチルアルコールに水を10%添加し90℃まで加熱した場合では, 電位は45分まで貴方向へ移り, その後徐々に卑方向へ移つた。この条件下において試料表面の変色を認めた。」

 

マグネシウム合金は常温のメチルアルコール, 1.2-エタンジオール中で浸食が見られ, 水分共存下では, エチル, ブチル, iso ブチル, s-ブチル, t-ブチルアルコールや, フェノール, 1.2-エタンジオール, グリセリンに浸食が見られた。水分共存下の浸食はマグネシウムによる水の還元反応で, その条件は,

(1)遊離の水が存在しやすい。

(2)水のイオン化を促進させる。などの条件により浸食されると思われる。

 

またメチル, オクチル, ドデシルアルコールや, フェノール, 1.2-エタンジオール, グリセリン等は沸点で浸食が見られた。これらアルコキシド生成による浸食の条件は,

(a)プロトンを出しやすい。

(b)温度が高い。

(c)分子量が少ない。

(d)水を含まない。

などの条件で浸食がおこる。いずれの浸食もマグネシウムによる溶媒の還元反応であり, その浸食を抑えるのは, 不活性な表面酸化水和物である。」

 

↑もし,ある程度安定なマグネシウムアルコキシドができたとしたら,マグネシウム表面の電気化学的な活性はどのように変化するだろうか?

 

マグネシウム二次電池の組み立てにおいて,アルゴン気流下等でなくてもその表面を活性に保てるような表面処理法は可能だろうか?

 

 

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