全固体型アルミニウム空気二次電池 No.3 (β版)

 本年は,レアメタルフリーの二次電池を目指して,アルミニウムーヨウ素イオン二次電池等の研究開発にチャレンジしたく思っており,そのための情報検索のβ版です。

アルミニウム二次電池でWeb検索しますと,冨士色素株式会社さん関連の情報が多々出てきました。

 

 (1) 報道関係各位

世界初!アルミニウム-空気電池の初の二次電池化を実現 (2019年月4月24日)

http://www.fuji-pigment.co.jp/pres.pdf

 

 (2)  冨士色素、全固体型のアルミニウム-空気二次電池の開発に成功

TECH マイナビニュース 掲載日 2019/04/24 12:57

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20190424-814292/

 

(3) 新型の高容量電池が登場!?全固体型アルミニウム空気二次電池の開発に成功

身近な金属「アルミニウム」×「空気」をエネルギーにした近未来型二次電池の誕生

EMIRA 2019.5.24

 https://emira-t.jp/topics/10331/

 

↑上記のWebニュースの「全固体型」という部分に関しては,2013年および2014年の論文には記述がなかったため,

特許関連文献の検索を行ってみました。

 

 例えば,J-PlatPatで

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0100

出願人:冨士色素株式会社

発明・考案の名称/タイトル:空気

発明・考案の名称/タイトル:電池

と検索キーワードを入れると,以下の表示。

 例えば,J-PlatPatで

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0100

出願人:冨士色素株式会社

発明・考案の名称/タイトル:アルミニウム二次電池

と検索キーワードを入れると,以下の表示。

WO/2023/199868

https://patentscope2.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=JP413657555&_cid=JP1-LR0NLH-94546-1

 

 

特開2014-203552,特許5930998: 金属空気電池

 

 この特許文献の内容が,以下の論文発表の内容と,ほぼ合致している。

 

 (6) A new structured aluminium–air secondary battery with a ceramic aluminium ion conductor

 Ryohei Mori, RSC Adv., 3, 11547–11551 (2013)

http://www.fuji-pigment.co.jp/Aluminum-Air-Battery.pdf

 (7) A novel aluminium–air secondary battery with longterm stability

 Ryohei Mori, RSC Adv.,  4, 1982-1987 (2014).

http://www.fuji-pigment.co.jp/Aluminum-Air-Battery-2.pdf

 

論文では,アルミニウムイオン伝導体 Al2(WO4)3 とされていたものが,

特許文献では,固体電解質とされている。

 

論文(7) のFig.1aの構造は,特許文献の図2の構造と同様となっている。

(↓図2へのリンク)

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/gazette_work3/domestic/B/005930000/005930900/005930990/005930998/2F1E8A90AD185371F8BF2C9627841A4B09BBFFA41D492ECEA91AA155C1207A29/text/JPB%20005930998_i_000005.jpg?version=202401061313

ここで,201 負極,202 固体電解質膜,203 電解液,204 固体電解質ペレット,205 正極(空気極)。

 

論文(7) のFig.1bの構造は,特許文献の図2の構造と同様となっている。

(↓図3へのリンク)

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/gazette_work3/domestic/B/005930000/005930900/005930990/005930998/2F1E8A90AD185371F8BF2C9627841A4B09BBFFA41D492ECEA91AA155C1207A29/text/JPB%20005930998_i_000006.jpg?version=202401061315

ここで,301 負極,302 固体電解質膜,303 電解液,304 固体電解質+空気極触媒材料ペレット,305 正極(空気極)

 

この特許文献の,空気極触媒材料とは,

論文(7) では,電子移動を促進するためにAl2(WO4)3 に添加した導電性カーボン材料となっていた。

この特許文献の実施例では,これが, 空気極触媒材料プレスペレット:酸化マンガン+活性炭

とされている点で違いがある。

 

請求の範囲としては,

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【請求項1】

  電解液と空気極の間に、アルミニウムイオン伝導体を含有する緻密な構造を有するセラミックス固体電解質が位置し、イオン伝導体を含有する他の固体電解質が金属負極の電解液側に隣接したアルミニウム空気電池。

・・・・・

【請求項7】

  前記金属負極は、アルミニウム(Al)と、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)からなる群から選ばれる1種以上とを合金化させたものである請求項1-6いずれか一項に記載のアルミニウム空気電池。

(↑特開と特許とで,請求項の記述が補正されてかなり変わっている。)

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とされていて,この特許文献中のすべてのアルミニウムー空気セルの構造において,

固体電解質に加えて,電解液が含まれている。

 

 

■特開2016-015264,特許6203139:組成物、該組成物を含有する多孔性層を有する電極、および該電極を有する金属空気二次電池

 

以下の請求項にあるように,この特許文献では,アルミニウムー空気二次電池の充放電反応で生じてセルの充放電反応を妨げる主原因となる副生成物であるAl(OH)3やAl2O3 の電極上への蓄積を防止することが目的とされている。

 

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【請求項1】

  金属空気二次電池の負極または空気極において、活物質として働く物質を含む負極の金属電極層、または、空気極の触媒層に当接して被覆するように設けられた反応副生成物を孔中に蓄積する多孔性層を製造するための原料組成物であって、

  酸化物系材料及び結着樹脂からなるか、または、酸化物系材料、結着樹脂及び溶剤からなり、

  前記酸化物系材料はAl2O3、ZrO2、SiO2、MnO2、TiO2、V2O5、VO2のうちのいずれか一種以上であり、

  前記多孔性層は、金属酸化物として前記原料組成物に含まれる前記酸化物系材料と同一の酸化物のみを含む組成物。

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特開2016-091809,特許6523658:キャパシタ空気電池用の中間層原料組成物、該原料組成物を含有する中間層を有する電極、および該電極を備えたキャパシタ空気電池

 

 この特許論文の請求項で言うところの中間層とは,カーボン系材料および/または酸化物系材料を含む粒状物と結着樹脂とからなる組成物で,これらを金属負極と電解液との間に設けることで,電池の充電時に電気二重層が形成され、電池の瞬間的な放電容量が増大させることを目的としている。

 

多価金属二次電池は,酸化被膜等の形成によって,高電流密度の充放電が難しく,その問題の解決法の一つとして考えられると思われる。

 

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【請求項1】

  BET比表面積1m2/g以上3000m2/g以下であるカーボン系材料、および酸化物系材料を含む粒状物、ならびに結着樹脂を含有する、キャパシタ空気電池の電極に当接して被覆する中間層の原料組成物。

・・・・・・・・・・・・・・・・

【課題を解決するための手段

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発明者らは、カーボン系材料を含有する組成物を用いて金属負極に中間層を形成することによって、電池の充電時に電気二重層が形成され、電池の瞬間的な放電容量が増大することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

  本発明のキャパシタ空気電池に用いられる電解質層は、主に、溶媒に電解質が溶解しイオン導電性を有する電解液から構成される

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特開2017-050294,特許6383396:組成物、該組成物を含有する多孔性層を有する電極、および該電極を有する金属空気二次電池

 

 この特許文献の課題は,(特開2016-015264,特許6203139)と同様であって,アルミニウムー空気二次電池の充放電反応で生じてセルの充放電反応を妨げる主原因となる副生成物であるAl(OH)3やAl2O3 の電極上への蓄積を防止することが目的とされている。違いは,多孔性層の原料は,前報では酸化物系材料であったものが,カーボン系の材料である点となっている。

 

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【請求項1】

  金属空気二次電池の負極または空気極において、活物質として働く物質を含む負極の金属電極層、または、空気極の触媒層に当接して被覆するように設けられた、反応副生成物を孔中に蓄積するための多孔性層の原料組成物であって、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバ、グラファイト、グラフェンおよび活性炭のうち、いずれか一種以上と、結着樹脂とを含有する組成物。

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再表2018/147404:金属空気電池

 

 この特許文献では,空気極の材料構成が,ペロブスカイト型化合物、及びカーボンアロイからなる群から選択される少なくとも1種の空気極触媒材料とされている点が,前報との大きな相違点となっている。

金属ー空気セルの構造は,金属負極|電解質|空気極 となっており,前報のように,電解質と空気極の間に固体電解質を挟む構造とはされていない。

 

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【請求項1】

  負極と、空気極と、前記負極及び前記空気極の間に介在する電解質と、を有する金属空気電池であって、

  前記電解質は、イオン液体、水溶性電解液、及び非水電解液からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、

  前記空気極は、ペロブスカイト型化合物、及びカーボンアロイからなる群から選択される少なくとも1種の空気極触媒材料を含有する金属空気電池。

・・・・・

【0007】

 

  しかしながら、特許文献2のように、電解質と空気極の間に固体電解質を挟む構造とすると、構造が複雑化してしまい、コスト低減等に不利であり、また、1次電池や2次電池等としての電池性能の観点からも、さらなる改善の余地がある。

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特開2018-147897,特許6619481:組成物、該組成物を含有する多孔性層を有する電極、および該電極を有する金属空気二次電池

 

 この特許文献でも,充放電に伴い生成する副生成物の電極への蓄積を防止することが課題とされていて,前報とは多孔性層の組成が主な相違点となっている。金属ー空気セルの構造は,金属負極|電解質|空気極 となっており,前報のように,電解質と空気極の間に固体電解質を挟む構造とはされていない。

 

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【請求項1】

  活物質として働く金属元素を含む金属電極層に多孔性層が当接して被覆するように設けられた金属空気二次電池に用いるための負極であって、

  前記多孔性層が、金属又はケイ素と酸素とが結合して形成される酸化物材料と、結着樹脂とを含有し、前記酸化物材料が、前記結着樹脂を介して互いに結合して、前記負極を構成する金属に由来する副生成物及び/又は前記金属空気二次電池の電解液中の金属イオンに由来する副生成物を蓄積するための孔が形成されている金属空気二次電池用負極。

・・・・・

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

  本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、充放電に伴い生成する副生成物の電極への蓄積を防止して、長期にわたり充放電可能な金属空気二次電池を提供することを目的とする。

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(↑特開と特許とで,請求項の記述が補正されてかなり変わっている。)

 

 

特開2018-181667,特許6491258:金属空気電池

 

 この特許文献では,イオン液体が電解質に用いられているが,イオン液体を電解液として使用するだけでは、金属負極側の副生成物を抑制できても、空気極での副生成物の生成を十分抑制できないとして,非酸化物セラミックをい含有する空気極を用いることで,充放電に伴い生成する副生成物の電極への蓄積を防止することを解決策としている。これは,前報と同様な考え方となる。

 

 非酸化物セラミックは、金属の炭化物、窒化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物、又はケイ化物とされている。

 金属ー空気セルの構造は,金属負極|電解質|空気極 となっており,前報のように,電解質と空気極の間に固体電解質を挟む構造とはされていない。

 

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【請求項1】

  負極と、空気極と、前記負極及び前記空気極の間に介在する電解質と、を有する金属空気電池であって、

  前記負極は、アルミニウムを主体として含有し、

  前記電解質は、イオン液体を含有し、

  前記イオン液体のカチオンは、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピラゾリウム、ピペリジニウム、モルホリニウム、スルホニウム、及びホスホニウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、

  前記イオン液体のアニオンは、ハロゲンイオン、アミドイオン、イミドイオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、フルオロ硫酸イオン、乳酸イオン、及びカルボン酸イオンからなる群から選択される少なくとも1種であり、

  前記空気極は、非酸化物セラミックを含有する金属空気電池。

 

・・・・・・

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

  しかしながら、特許文献4のように、イオン液体を電解液として使用するだけでは、金属負極側の副生成物を抑制できても、空気極での副生成物の生成を十分抑制できず、電池性能の更なる向上の余地があることが判明した。

【0009】

  そこで、本発明の目的は、金属負極のみならず空気極での副生成物の生成を抑制して、充放電サイクル特性の安定性等の電池性能の向上が図れる金属空気電池を提供することにある。

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  図8には,金属空気電池の充放電曲線が示されているが,容量が100mAh/g付近で放電電圧が0.2V付近に落ちており,それ以降の放電域での電解質等の分解等の影響も気になるところではある。

(↓8へのリンク)

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/gazette_work3/domestic/B/006491000/006491200/006491250/006491258/47F604F10FC43CF64C50D777BEDC254DF157B6E40D632C5A2D3AC4D607182758/text/JPB%20006491258_i_000011.jpg?version=202401052324

 

 

特開2020-149923:金属空気電池

 

 この特許文献の内容が,2019年の冨士色素株式会社からの以下のプレスリリースの内容や,それに関連したWebニュースの内容に最も近いものとなっている。

 

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(1) 報道関係各位

世界初!アルミニウム-空気電池の初の二次電池化を実現 (2019年月4月24日)

http://www.fuji-pigment.co.jp/pres.pdf

(2)  冨士色素、全固体型のアルミニウム-空気二次電池の開発に成功

TECH マイナビニュース

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20190424-814292/

掲載日 2019/04/24 12:57

「電解質にイオン液体類似の深共晶溶媒を用いて、かつ最適な添加剤を複合化させることで電解質を固体化することで全固体型のアルミニウム空気二次電池の作成に成功したという。」

(3) 新型の高容量電池が登場!?全固体型アルミニウム空気二次電池の開発に成功

身近な金属「アルミニウム」×「空気」をエネルギーにした近未来型二次電池の誕生

EMIRA 2019.5.24

https://emira-t.jp/topics/10331/

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 この特許文献の請求項では,「深共晶溶媒を含有する金属空気電池」がクレームされている。

深共晶溶媒としては,実施例では,以下のものが記載されている。

 

 

 ・ アセトアミドとAlCl3との混合物(モル比1:1)を液体反応生成物が形成されるまで室温で2時間以上混合して、深共晶溶媒を含有する電解質。

・ 4-プロピルピリジンとAlCl3との混合物(モル比1:1)を液体反応生成物が形成されるまで室温で2時間以上混合して、深共晶溶媒を含有する電解質。

・ 尿素とAlCl3とエチレングリコールとの混合物(尿素:AlCl3:エチレングリコール=モル比1:1:0.2)を液体反応生成物が形成されるまで室温で2時間以上混合して、天然由来の深共晶溶媒を含有する電解質。

・  深共晶溶媒を含有する電解質と、カルボキシメチルセルロースポリマーとを25℃で2時間混合した(質量比は、電解質:ポリマー=1:0.3)後、金属負極上に塗布し、乾燥することで、固体状の電解質を作製。

 

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【請求項1】

  負極と、空気極と、前記負極及び前記空気極の間に介在する電解質と、を有する金属空気電池であって、

  前記負極は、アルミニウムを含有し、

  前記電解質は、深共晶溶媒を含有する金属空気電池。

・・・・・

「深共晶溶媒」(Deep  Eutectic  Solvent)とは、一般的に、水素結合ドナー性の化合物と水素結合アクセプター性の化合物との混合物によって形成されるものであって、共晶により融点が大きく降下しているものを意味する。深共晶溶媒は、低揮発性及び難着火性は保持しつつ、イオン液体と比較してコストが飛躍的に低い(組成原料から判断し2~3桁は低コストと考えられる)媒体である。

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 特開2021-111574:金属空気電池

 

 この特許文献の請求項では,正極集電体の腐食の抑制が課題とされている。一連の特許出願の中では,はじめて集電体の腐食の問題への取り組みがなされている。

 

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 【請求項1】

  負極と、空気極と、前記負極及び前記空気極の間に介在する電解質と、を有する金属空気電池であって、

  前記空気極は、空気極触媒材料を含有する触媒層と、正極集電体とを有し、

  前記正極集電体は、チタン金属、モリブデン金属、ニッケル系合金、タングステン金属、ジルコニウム金属、タンタル金属及びカーボン系からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、

  前記空気極触媒材料は、非酸化物セラミック、炭素系材料、及び複合酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、

  さらに、前記空気極触媒材料は、貴金属系ナノコロイド、炭素量子ドット、グラフェン量子ドット、金属有機構造体(MOF)、金属有機構造体(MOF)由来の炭素系材料、及び金属有機構造体(MOF)由来の酸化物系材料からなる群から選択される少なくとも1種により担持されている金属空気電池。

・・・・・・

【0007】

  そこで、本発明の目的は、電解液中に腐食性のある成分が含まれていたとしても、正極集電体の腐食を抑制でき、電池を長持ちさせることにある。さらに、本発明の目的は、酸化還元反応を増加させて、電池容量等の電気特性を向上させることにある。

【課題を解決するための手段】

【0008】

  本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、金属空気電池において、従来の一般的な正極集電体の代わりに耐腐食性材料を含有する正極集電体とし、さらに貴金属系ナノコロイド等を担持させた空気極触媒材料を用いることで、電解液中に腐食性のある成分が含まれていたとしても、正極集電体の腐食を抑制でき、電池を長持ちさせることができ、さらに、酸化還元反応を増加させて、電池容量等の電気特性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った

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 図3には,金属空気電池の充放電曲線が示されているが,容量が100mAh/g付近で放電電圧が0.2V付近に落ちており,それ以降の放電域での電解質等の分解等の影響も気になるところではある。

(↓図2へのリンク)

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/gazette_work2/domestic/A/503111000/503111500/503111570/503111574/82E1017B8669A597ED99663FFDAC1A79E60F3534DF6963251E0924D5013C4DEB/text/JPA%20503111574_i_000006.jpg?version=202401061459

 

 

 特開2023-156753:アルミニウム二次電池

 

 この特許文献も,集電体の腐食の防止が課題となっており,その点は,前報( 特開2021-111574)と同様となっているが,電池構造の違いの一つとしては,セパレータが電池構造に入ってきている点となっている。

 

それにも増して大きな違いは,先の一群の特許文献が,二次電池の分類としては,アルミニウムー空気二次電池が研究開発対象であったのに対して,この特許文献では,アルミニウムイオン二次電池やルミニウム硫黄電池に関して技術背景で言及され,それらをアルミニウム二次電池として括って,ここで初めてアルミニウム二次電池に関する出願行われている。これは,以下に引用させていただいた請求項3の電解液の構成からも判断できる。

 

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 【請求項1】

  アルミニウム及び/又はアルミニウム合金を含有する負極、前記負極と対向するように設けられた正極集電体、前記正極集電体上に配置された正極活物質、並びに前記負極及び前記正極集電体の間に配置されたセパレーター及び電解液を備えるアルミニウム二次電池であって、

  前記正極集電体が、ニッケル系合金、ニッケル、モリブデン、ガラス状炭素、窒化チタン、炭窒化チタン、及び炭化チタンからなる群より選択される1種以上からなる、アルミニウム二次電池。

・・・・・・

【請求項3】

  前記電解液が、AlCl4-、AlBr4-、 AlI4-、Al2Cl7-、Al2Br7-、Al2I7-、及びAl2Cl6Br-からなる群より選択される1種以上のイオンを含有する、請求項1に記載のアルミニウム二次電池。

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