Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。
種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,
できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。
直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。
振動発電&蓄電用実験系の準備 No.1
[1]振動発電
振動発電の発電方式は,「その原理・方法によって,「電磁誘導」「静電誘導」「逆磁歪効果」「圧電効果」の4 種類に分けられる。・・・現状では導入時の検討事項の多さが普及の足枷となっているものの,大量のセンサが使われるようになるIoT(モノのインターネット)社会においては,電池や電源配線を代替・補完し,メンテナンスや交換が不要の電源として様々な分野で使用されることが期待されている。」と解説されている。
(Ref.) 用語解説(第114回テーマ:振動発電)/電力・エネルギー部門誌 2020年9月号,
伊藤 雅彦,2020 年 140 巻 9 号 p. NL9_6
DOIhttps://doi.org/10.1541/ieejpes.140.NL9_6
https://www.iee.jp/pes/wp-content/uploads/sites/3/2020/10/term-114-table1.png
[2]圧電効果による振動発電:圧電素子
異分野の者が初めて振動発電実験系のセットアップを行う場合には,まずは,市販の電子部品として入手が可能な圧電効果(ピエゾ効果)型の発電素子の系が行いやすいように思う。
(Ref.) ピエゾ(圧電素子)とは?
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/piezo/what1
研究論文の場合においても,振動型エナジーハーベストにおいて圧電方式が大きな割青を占めていると報告されている。
(Ref.) 振動エネルギーによる環境発電(振動発電)神野伊策(神戸大学),表面技術,67, 16 (2016)
Electric Power Generation from Environmental Vibration (Vibration Energy Harvesting
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/67/7/67_348/_pdf
圧電素子(ピエゾ素子)としては,株式会社スライブの,以下の型番のものが,高電圧や比較的高い電流を得やすいために,論文等で使用されていた。以下の素子は,せんごくネット通販で,1枚から,購入可能であった。
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・せんごくネット通販
https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=EEHD-47EL
THRIVE (スライブ) K7520BS3
KINEZ 振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプ-
【主な仕様】
両面(Bimorph) 直列(Series)タイプ
サイズ: 75×20×0.43mm
共振周波数: 3300Hz
共振抵抗: 300Ω
静電容量(at120Hz):110nF
最大出力電圧: 80Vp-p(±7.5V)
出力電流: 100μA
・せんごくネット通販
https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=EEHD-4KGN
THRIVE (スライブ) K7520BP2
KINEZ 振動発電素子(大)-両面・大電流タイプ-
【主な仕様】
両面(Bimorph) 並列(Parallel)タイプ
サイズ: 75×20×0.33mm
共振周波数: 2900Hz
共振抵抗: 50Ω
静電容量(at120Hz):640nF
最大出力電圧: 30Vp-p(±7.5V)
出力電流: 600μA
使用温度範囲: -20~+70℃
保存温度範囲: -20~+80℃
上記の圧電素子の使用説明書は,
DATA_KINEZ(TM) 振動発電素子 (sengoku.co.jp)
https://www.sengoku.co.jp/item/pdf/spec_KINEZ_1_20.pdf
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いずれもリーズナブルな価格の素子で,特性も優れているが,全くの未経験で,どの程度の振動で破壊してしまうのか把握できていなかったことから,まずはより廉価な以下の素子を用いた検討を行った。以下の圧電素子でも,振動によってLED(定格1mAタイプ)を光らせることは可能だった。
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・通販:株式会社ストロベリー・リナックス
https://strawberry-linux.com/catalog/items?code=12019
環境発電用 圧電振動板 BXHP-100013 メーカー品番:BXHP-100013
仕様
・厚さ:0.53mm,外周部:0.3mm
・直径:35mm
・村田製作所製
※村田製作所のご協力により特注したものです。BXHP-100013はカタログには存在しない実験用サンプルの番号です。
市販の圧電振動版は原価を安くするために、薄くてぺらぺらなものが多いですが、この振動版はベースの真鍮板が厚い(0.3mm)のでしっかりしています。
※現在、この商品の詳細な技術資料はございません。
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商品の詳細な技術資料は無いが,使ってみたところ,ブリッジダイオード整流後で80Vの開放電圧を安定して振動発電できた。
関連データは後日示す予定です。
上記の圧電素子にはリード線がついていないため、外周部の真鍮板と中央部の圧電セラミックス上の銀電極,にそれぞれリード線をハンダ付けする必要がある。
中央部の銀電極の端へのハンダ付けは,Agを数%含んだ銀メッキ用のハンダを用いて行えた。
外周部の真鍮板へのハンダ付けは,真鍮板の一部をヤスリ等で研磨し,通常の電子工作用ハンダを使用して行えた。
電振動板へのリード線付けについてについては,以下の村田製作所のサポートサイトに,コテ付け条件(温度,時間)等の詳しい解説があった。
圧電振動板のFAQ
(Q)圧電振動板へのリード線付けについて、推奨はんだ付け方法を教えてください。 | よくあるご質問 | 村田製作所 (murata.com)
(Q)リード線付圧電振動板の取り扱いで注意しなければならない点は有りますか? | よくあるご質問 | 村田製作所 (murata.com)
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上記のような圧電素子に振動や歪を加えることで,振動発電が起こることを,オシロスコープ等を用いて容易に観測できる。
村田製作所製の円形圧電振動板は,ベースの真鍮板が厚い(0.3mm)が,これは,圧電セラミックス層の破壊リスクを低減するためと思われる。この円形圧電振動板を,硬い板や変形の容易なゲルからなるマット等に置いて振動発電特性を見てみたが,硬い板の場合には圧電セラミックス層の損傷が心配され,ゲルからなるマットの場合には開放電圧の低下があった。
そこで,以下のようなプラスチックシャーレの上に設置したところ,高い開放電圧と良好な再現性を得ることができた。
例えば,Amazonだと,
シャーレ プラスチック 蓋付き ペトリ皿 容器 実験用品 使い捨て クリア 20個セット (60mm)
薄くしなやかなプラスチック製なので,ステッピングモータ駆動のアームで押しながら振動発電(ブリッジダイオード整流で80V開放電圧)による開放電圧を測定したが,良好な再現性と数時間以上の安定性を得ることができている。
管理人 (水曜日, 24 4月 2024 10:09)
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技術情報交換等にご利用下さい。(2024.4.24)