Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。

種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,

できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。

直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。

 

 

振動発電&蓄電用実験系の準備 No.13

[11]THRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大)

   -両面・大電流タイプ-(6)

            振動発電に伴う紫色LED発光強度の時間変化

 前ページ(5)では,K7520BP2 振動発電素子を,表裏両側に対称に±7mm振動させた振動発電に関して,発光条件の厳しい紫色LED(Opto Supply社: OSV5YL5111A,順方向電圧3.4V,20mA)を用いた検討を行った。K7520BP2 振動発電素子を用いた振動発電の最大電力を考えれば,紫色LED(OSV5YL5111A)を光らすことができたとしても,微かに光るだけ,と想像していたのだが,意外に明るく発光した。

オシロトレースから紫色LED発光時の電圧を,1Hz, 5Hz, および10Hzで比較したところ,それぞれ,2.78V, 2.86V,および2.86Vであった。紫色LED(OSV5YL5111A)の順方向電圧は3.4Vなので,定格の明るさで光ってはいないとは思われるが,肉眼で見る限りでは意外に明るく発光することをYoutube動画で示した。

(明るさを定量的に議論できるように準備しないとダメですね。)

 

ということで,今回は 振動発電に伴う紫色LED発光強度(放射強度)の時間変化についての検討を行った。

 

手始めに,紫色LEDの発光強度をフォトダイオードヘッドのパワーメータで計測して(受光面積が広いのでLEDの光束を拾うには好都合だったが...),パワーメータからのアナログ電圧出力をオシロスコープで観測しようとした。しかし,予想しはしていたものの,パワーメータのノイズを少なくしようとすればレスポンスというか時定数というか,ある時間帯のアベレージされた値が出力されてくると思われ,1秒前後の周期の現象を見るのがやっとだった。これではとても,1Hz, 5Hz, および10HzのLED発光の時間変化はみることはできなかった。

 

それで,フォトダイオードユニット(浜松ホトニクス,C6386-01)を用いた計測を行った。光ファイバータイプで使いやすくはあるが,受光開口径が2mmΦなのでLEDからの光をすべて拾うのは無理で,半定量的というか,相対的な比較にはなってしまう。

以下の図13-1に分光感度特性(Range H)を示した。センサーヘッドのフォトダーオードが可視光用のもので紫外部に感度を有さず(可視用も紫外用も同じシリコンフォトダイオードだが窓材が紫外光不透過),紫色LED発光(405nm)では,ガクンと感度が落ちてしまう(先の赤色LEDならOK, そちらに対しての測定は次のNo.14に記載する予定)。かろうじて測定できたが,データはかなりノイジーになってしまった。

 

図13-1  フォトダイオードセンサの分光感度特性(Range H)。

 

図13-1の分光感度特性から,紫色LEDの発光強度(パワー μW)の時間変化パを求め,1Hz, 5Hz, および10Hzの振動発電の場合に対して,それぞれ,図13-2, 13-4, 13-6に示した。

 

やはり,発光の明るさの比較は,肉眼での観察はあまりあてにならない(当り前だが)。

1Hz振動発電の場合のLED発光のパワーは非常に低く,瞬間的なパルス状の発光もみられなかった。この結果は,”K7520BP2 振動発電素子が一個じゃ,紫色LED(Opto Supply社: OSV5YL5111A,順方向電圧3.4V,20mA)を光らせるのは無理でしょ”という,振動発電の電流電圧特性,電力ー電圧特性(No.10のデータ)からの予想に合ってる。

 

これに対して,5Hz,および10Hzの振動発電では,1Hz振動発電に比べて数十倍明るくLEDが発光している。また,10Hz振動発電のほうが5Hz,振動発電よりも,約2倍明るく光っているのがわかる。

1Hz振動発電の場合と,5Hzおよび10Hzの振動発電の場合との違いの大きさが意外だった。5Hzおよび10Hzで光るなら,発光する時間は短くても,短パルス状にピクンと光ってもいいのではと思うのだが(LEDの順方向電圧を超えられない?),これは圧電素子一般の特性なのだろうか?,あるいは,K7520BP2 特有の特性なのだろうか?

振動発電初心者にはわからないことばかりなので,実際にいろいろと試してみるしかないようだ。

 


図13-2  1Hz振動発電による紫色LED発光の時間変化。

 

図13-4  5Hz振動発電による紫色LED発光の時間変化。

 

図13-6  10Hz振動発電による紫色LED発光の時間変化。

 

 

図13-3  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの1Hz振動発電による紫色LED発光おける電圧変化。

 

 

図13-5   THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの5Hz振動発電による紫色LED発光おける電圧変化。

 

 

 

図13-7   THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの10Hz振動発電による紫色LED発光おける電圧変化。

 

 


コメント: 1
  • #1

    管理人 (水曜日, 24 4月 2024 10:13)

    コメント欄を試験的に開設しました。
    技術情報交換等にご利用下さい。(2024.4.24)