Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。

種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,

できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。

直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。

 

 

振動発電&蓄電用実験系の準備 No.14 

[11]THRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大)

   -両面・大電流タイプ-(7)

            振動発電に伴う赤色LED発光強度の時間変化

 前ページ(6)では,K7520BP2 振動発電素子を,表裏両側に対称に±7mm振動させた振動発電に関して,発光条件の厳しい紫色LED(Opto Supply社: OSV5YL5111A,順方向電圧3.4V,20mA)の発光強度の時間変化を見た。5Hz,および10Hzの振動発電では,1Hz振動発電に比べて数十倍明るくLEDが発光した。1Hz振動発電の場合と,5Hzおよび10Hzの振動発電の場合との違いの大きさが意外だった。

 

今回は,低電流でも発光が可能なLED素子(赤色,Optosupply社OSR5PA3133A-1MA,順方向電圧:1.8V,1mA)を用いて,振動発電に伴うLEDの発光強度の時間変化の検討を行った。

 

 まず,振動発電による赤色LEDの発光強度(放射強度)の振動数依存性に関して,結果から先にまとめておくと,以下の図14-1および図14-2のようであった。

赤色LEDの発光強度(放射強度)の振動数依存性を,LED発光の時間変化における極大値で見た場合には,図14-1に示すような直線関係となった。

しかし,振動発電によるLED発光においては,変位ゼロ前後での非発光時間帯があるため,LED発光強度を測定時間全体で積分して測定時間で割ることで,単位時間当たりの発光強度の振動数依存性として図14-2に示した。この場合には,振動数が上がると最大発光強度は増加するものの,変位ゼロ前後での非発光時間帯も増えることから,振動数の増加にともないLED発光強度の増加が飽和するような挙動となった。

 

以上の結果から考えると,THRIVE K7520BP2 圧電素子の本来の特性を得るためには,振動数が5Hzを超えるような条件が望ましいと考えられる。人間の歩行や動作の振動数は1Hz前後と考えられ,その条件下ではHRIVE K7520BP2 圧電素子であっても単体のみでの何らかのデバイスを駆動することは,なかなか厳しいように思う。そのような場合には,振動発電に最適化された蓄電デバイスとの組み合わせが有効なこともあり得るように思った。

 

以下,図14-3以降に,各振動数における赤色LED発光強度の時間変化特性等を示した。

 

図14-1 振動発電による赤色LEDの発光強度(放射強度)の振動数依存性。

 

図14-2 振動発電による赤色LEDの単位時間当たりの発光強度(放射強度)の振動数依存性。

 


図14-3  0.1Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-3  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの0.1Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-5  0.2Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-6  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの0.2Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-7  0.5Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-8 THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの0.5Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-9  1Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-10  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの1Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-11  2Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-12  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの2Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-13  3Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-14  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの3Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-15  4Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-16  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの4Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-17  5Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-18  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの5Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-19  10Hz振動発電による赤色LED発光の時間変化。

 

図14-20  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの10Hz振動発電による赤色LED発光おける電圧変化。Ch1(オレンジ):LED電圧,Ch2(水色):LED発光強度(電圧)。

 


図14-2 1 には,THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子において,変位を+7mm」(下側に変位)させておき,瞬時に0mm位置(素子の屈曲のない状態)に変位させた場合の電圧(ブリッジダイオードで整流)の過渡的な変化を示した。この時,LED等の負荷は結線されていない。キャパシタの自己放電に似た挙動が観察された。

 

図14-21  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプにおいて,変位を+7mm」(下側に変位)させておいて,瞬時に0mm位置(素子の屈曲のない状態)に変位させた場合の電圧(ブリッジダイオードで整流)の過渡的な変化。

 

コメント: 1
  • #1

    管理人 (水曜日, 24 4月 2024 10:13)

    コメント欄を試験的に開設しました。
    技術情報交換等にご利用下さい。(2024.4.24)