Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。
種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,
できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。
直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。
振動発電&蓄電用実験系の準備 No.22
[12]THRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプ- (1)
株式会社THRIVE (スライブ)のKINEZ 両面タイプの振動発電素子には,以下の高電圧タイプと大電流タイプとがある。
高電圧タイプのK7520BS3は,両面(Bimorph) 直列(Series)型の圧電素子(ピエゾ素子)で,直列型であるので電圧を稼ぐことがでる。仕様は,最大出力電圧: 80Vp-p,出力電流: 100μAとなっている。
これに対して,高電流タイプのK7520BP2は,両面(Bimorph) 並列(Parallel)型の圧電素子(ピエゾ素子)で,並列型であるので電流を稼ぐことがでる。仕様は,最大出力電圧: 30Vp-p,出力電流: 600μAとなっている。
もし,ストロベリー・リナックスから販売されているLTC3588搭載の圧電素子・振動発電モジュールと組み合わせて使用することを考えると,LTC3588 圧電素子・振動発電モジュール は,入力側のブリッジダイオードで整流した電圧に対して,ICへの過電圧保護のために,20V のツェナーダ イオードが入っているので,高電圧タイプのK7520BS3の最大出力電圧(80Vp-p)を生かせないのでは?
高電流タイプのK7520BP2なら整流後の電圧は15V以内となるので,LTC3588 圧電素子・振動発電モジュールとの組み合わせに適するのでは?と思ったことから,まずはNo.8~No.21では,まず,高電流タイプのK7520BP2の特性の検討をおこなった。
今回のNo.22からは,THRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプ- の特性の検討およびTHRIV K7520BP2 振動発電素子(大)-両面・大電流タイプ-との比較を行う。
----------------圧電素子および振動発電モジュールの入手先および仕様----------------
・せんごくネット通販
https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=EEHD-47EL
THRIVE (スライブ) K7520BS3
KINEZ 振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプ-
【主な仕様】
両面(Bimorph) 直列(Series)タイプ
サイズ: 75×20×0.43mm
共振周波数: 3300Hz
共振抵抗: 300Ω
静電容量(at120Hz):110nF
最大出力電圧: 80Vp-p(±7.5V)
出力電流: 100μA
・せんごくネット通販
https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=EEHD-4KGN
THRIVE (スライブ) K7520BP2
KINEZ 振動発電素子(大)-両面・大電流タイプ-
【主な仕様】
両面(Bimorph) 並列(Parallel)タイプ
サイズ: 75×20×0.33mm
共振周波数: 2900Hz
共振抵抗: 50Ω
静電容量(at120Hz):640nF
最大出力電圧: 30Vp-p(±7.5V)
出力電流: 600μA
使用温度範囲: -20~+70℃
保存温度範囲: -20~+80℃
上記の圧電素子の使用説明書は,
DATA_KINEZ(TM) 振動発電素子 (sengoku.co.jp)
https://www.sengoku.co.jp/item/pdf/spec_KINEZ_1_20.pdf
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株式会社ストロベリー・リナックス
■LTC3588 圧電素子・振動発電モジュール メーカー品番:LTC3588-1
https://strawberry-linux.com/catalog/items?code=12018
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図22-1に, 両面(Bimorph) 直列(series)型の圧電素子(ピエゾ素子)の構造を,図22-2に,THRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプへのハンダ付け配線,ステージへの固定およびステッピングモータ・アームヘッドへの取り付けの様子を示した。
図22-1 両面(Bimorph) 直列(series)型の圧電素子(ピエゾ素子)
図22-2 THRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプへのハンダ付け配線,ステージへの固定およびステッピングモータ・アームヘッドへの取り付け。
(以下は振動系の部分の構造に関しての再録)
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図22-3には,振動発電駆動部のステッピングモータ取り付けアーム先端の,圧電素子と接触する樹脂製の六角ネジカバーキャップの部分の加工形状を示した。樹脂製キャップにV字型のスリットを形成し,スリット奥の部分に圧電素子K7520BS3の短手方向の端を突き当てて設置し,ステッピングモーターのアームの上下動による圧電素子K7520BS3のたわみによる角度変化よりもV字型スリットの角度を大きくして,圧電素子K7520BS3の屈曲振動を妨げないようにした。図22-4および22-5には,圧電素子の両側に対称的に変位させた 1Hz振動発電実験の様子を動画で示した(大電流タイプK7520BP2の場合の参考動画)。
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後段でオシロスコープデータとして示すが,圧電素子の両側に対称的に+8mmおよび-8mm(大電流タイプK7520BP2の場合よりも1mm変位量を増やした条件,この程度は圧電素子とステッピングモータアームの取り付け条件で違いがでてくるかもしれない)変位させた場合に,Vp-p(振動発電交流波のpeak-to-peak開放電圧)はK7520BS3の仕様となっている最大出力電圧: 80Vp-pとなることが確認できた。K7520BS3の屈曲,出力電圧,振動周波数等をもっと上げることも可能だったが,仕様定格の80Vp-pまでとして,以降の検証実験(振動発電モジュール LTC3588への圧電素子K7520BS3の適用等)を行うこととした。
図22-3 振動発電駆動部のステッピングモータ取り付けアーム先端キャップの加工。
図22-4 1Hz振動発電実験。
図22-5 10Hz振動発電実験。
まず,ブリッジダイオードなしで,種々の変位量で,圧電板を1 Hzの振動数で振動させた場合の,オシロスコープで観測したVp-p(振動発電交流波のpeak-to-peak開放電圧,負荷のない状態での電圧)波形を図22-6に示した。
図22-7には,オシロスコープから読み取ったVp-pと振動発電における変位の関係を示したが,ゼロを通る直線関係が得られた。変位が増えてVp-pは線形に増加しており,さらに変位を増やすことでVp-pもさらに大きくなる。
しかし,THRIVE K7520BS3振動発電素子のデータシートでは,DEFLECTION LIMITS(変位によるたわみの限界)は±5mmとされており,8mmではすでに限界を超えている。
(この”DEFLECTION LIMITS”が,圧電セラミックス(PZT)層の変位によるたわみのみを考えているのか,あるいは,ステンレス基板の端の部分のたわみを含んで考えられているのかが,よく把握できなかった。ここでの実験の変位量は,ステンレス基板の端の部分でみて8mmなので,もし,圧電セラミックス(PZT)層の部分の変位のみであるならば,約±5mmとなる。)
図22-8には,HRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプの変位が+8mmのときの1Hz振動発電において,ブリッジダイオード整流後の電圧変化を示した。ブリッジダイオード整流によって,40Vの電圧が得られている。
図22-6 HRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプの振動発電における
Vp-p(振動発電交流波のpeak-to-peak開放電圧)に対する変位の影響。振動数: 1 Hz。
図22-7 HRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプの振動発電における
変位とVp-pの関係。変位は±X(mm)のXの値で表示。
図22-8 HRIVE K7520BS3振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプの変位が+5mmのときの1Hz振動発電おける電圧変化。
ブリッジダイオード整流。
管理人 (火曜日, 30 4月 2024 17:55)
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