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非液体電解質,高分子ゲル電解質,IRドロップ,フレキシブル
私たちが検討を行っている二次電池は、すくなくとも,負極となる金属と、ヨウ素イオンを含む第一非液体電解質層,ヨウ素イオンを含まない第二非液体電解質層,及びカーボン正極からなる構造となっています。そのため,負極の金属電極以外の部分を共通とした二次電池が可能です。今回私たちは,アルミニウムを負極とした全固体型のアルミニウム二次電池(アルミニウムヨウ素イオン二次電池)の開発を行いました。さらに,マグネシウム負極の卑な酸化還元電位とアルミニウム負極の特徴(充放電切り替え時の電位変動の無い特性)とを生かした,マグネシウムーアルミニウム複合金属電極を負極とした二次電池の開発を行い,国内優先権主張出願しています(特許願2023-216577)。
Fig.1には,異種金属を同一表面に配置した複合金属電極の構造の模式図を示しました。第一金属電極50と第二金属電極51とが、同一の基材44表面に配置され、導体45で電気的に接続された構造となっています。これによって,第一金属電極50と第二金属電極51とは,カーボン正極に対して電気的に並列接続となります。このような構造の二次電池が充放電可能な場合,様々なバリエーションが考えられ,それによって二次電池特性制御が可能であると思われます。
Fig.1 異種金属を同一表面に配置した複合金属電極の構造の模式図. 44:基材,45:導体,46:貫通孔を有するポリイミドフィルム,47:電極/非液体電解質層接合部貫通孔,50:第一金属電極,51:第二金属電極.
Fig.2に,マグネシウム―アルミニウム複合金属電極を負極とした二次電池(構造D)の(a)5サイクル目,(b)10サイクル目,(c)20サイクル目,及び(d)100サイクル目の充放電曲線を示しました。放電電圧は1.6 V付近にあり,マグネシウム電極の特性が支配的となっています。
また、充電から放電に切り替え直後のスパイク状のIRドロップを無くすことができており、前ページ(No.11)に示されるようなアルミニウム電極の特性が反映されています。これは,マグネシウム電極表面で放電電流が流れる経路が形成されるまでの間,アルミニウム電極側の放電電流が流れることで、過電圧の上昇が低減されることによると,現時点では考えています。
マグネシウムーアルミニウム複合金属電極によって,マグネシウムの卑な酸化還元電位と、充電から放電に切り替え直後にスパイク状のIRドロップが起こらないアルミニウム電極の特性を生かした二次電池を得ることができています。さらに、マグネシウムーアルミニウム複合金属電極を負極とした二次電池(構造D)では、充放電曲線の平坦性が向上し、IRドロップが全体的に低減できています。
Fig.2 マグネシウム―アルミニウム複合金属電極を負極とした二次電池(構造D)の(a)5サイクル目、(b)10サイクル目、(c)20サイクル目、及び(d)100サイクル目の充放電曲線.