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非液体電解質,高分子ゲル電解質,IRドロップ,フレキシブル
2024.2.4
アルミニウム二次電池
種々金属の資源量および理論電気容量を表1に示しましたが,クラーク数(地球上の地表付近に存在する元素の割合を質量パーセント濃度で表したもの)で比較した場合には,アルミニウムが最も高い数値となっています。さらに,体積当たりの理論容量も,アルミニウムが最も大きくなっています。
私たちは,アルミニウムを負極とした非液体電解質型のアルミニウム二次電池(アルミニウムヨウ素イオン二次電池)の開発を行い,国内優先権主張出願しています(特許願2023-216577)。
表1 種々金属の資源量および理論電気容量
私たちが検討を行っている多価金属二次電池構造の一形態(構造D)を,模式的にFig.1に示しました。積層型の構造Dは,10:金属負極,20:第一非液体電解質層,21:第二非液体電解質層,11:カーボン正極からなる構造となっています。20はヨウ化カリウムを無機塩として含むPVA(ポリビニルアルコール)等からなる非液体電解質層,21はカーボン電極でのヨウ素分子の発生を無くすために,ヨウ素塩以外の無機塩(LiCl)を含むものとしています。
Fig.1 二次電池(構造D)の断面の模式図. 10: 金属負極,11:カーボン正極,20:第一非液体電解質層,21:第二非液体電解質層.
非液体電解質型のアルミニウム二次電池(アルミニウムヨウ素イオン二次電池)の充放電機構やその特性に関しては,今後明らかにしていかなければならない点が数多くありますが,現時点において,Fig.1の構造の二次電池(構造D)において,電極面積当たりのカーボン正極の重量をアルミニウム負極の重量に対して過剰(約10倍)として,アルミニウム電極規制の条件下での,単位重量当たりの容量の測定を行ってみましたところ,リチウムイオン電池(LIB)との比較で同等以上の特性が示されました。
Fig.2には,種々の電流密度下でのアルミニウムヨウ素イオン二次電池の充放電曲線を,重量当たりの容量(mAh/g)と二極式セルの電圧(V)の関係で示しました。放電電圧は,約0.9(V)であるものの良好な平坦性を有し,その重量当たりの容量は300mAh/gに近く,リチウムイオン電池の容量(200 mAh/g前後)に比べて同等以上の特性が示されました。
Fig.2の充放電特性のデータ取得においては,電流密度の低い条件から増加させながら順次繰り返し測定を行っています。
Fig.3 アルミニウムを負極として用いた二次電池(構造D)の充放電曲線および重量当たりの容量(mAh/g).
表1に示されるように,アルミニウムはリチウムに比べて比重が高いことから,高い体積当たりの理論容量を有しています。Fig.3の単位重量当たりの容量(mAh/g)のデータを,アルミニウムの比重を用いた単純計算で,単位体積当たりの容量(mAh/cm3)として,Fig.4に示しました。
現時点においては,明らかにしていかなければならない点や課題が多くあるものの,アルミニウム二次電池(アルミニウムヨウ素イオン二次電池)が有するポテンシャルと可能性が示されました。
また,私たちが検討を行っているアルミニウムを負極とした非液体電解質型のアルミニウム二次電池(アルミニウムヨウ素イオン二次電池)は,不活性ガス雰囲気下での製造工程や構成材料に対する厳しい脱水条件を必要とせず,製造コストの面で大きなアドバンテージを有しています。
Fig.3 アルミニウムを負極として用いた二次電池(構造D)の充放電曲線および体積当たりの容量(mAh/cm3).